2014年5月6日火曜日

ビューティフル・マインド


 シルヴィア・ナサー「ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡」

 ラッセル・クロウ主演の映画の原作でもあるが、映画のような劇的な展開を想像すると期待外れになる。

 一人の数学者が若い頃から優れた業績を残し、天才の名を欲しいままにするが、統合失調症を病んで長い停滞に陥る。しかし、みごと病を克服してノーヴェル経済学賞を受賞する。

  評伝としてはていねいな作りで、優れた作品だと思う。が、面白いのはノーベル賞を受賞する全体量の10分の9ほどが経過してからで、それ以前は取材に基づ いた事実が淡々語られるだけ。偉人伝のように話を盛っているわけではないため、読むにつれてこの人の人生を知る必要があるのだろうかと感じられてくる。

 むしろ、この原作からあれだけ面白い映画に仕上げた映画制作者の創造力に感心する。文庫本で930ページあるこの本、読了まで20日以上かかった。とにかく長かった。

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