2014年11月12日水曜日

男嫌い

 「サイタ☓サイタ」の次は、途中まで読んで中断していた法月綸太郎「パズル崩壊」を終わりまでやっつけ、その後は、本棚に10年くらい放置したままの吉行理恵「男嫌い」。

 この小説、主人公がある売れない女流小説家が書いた12編からなる短編集を読む体裁をとっており、この小説自体も12編で構成されていて、主人公が読んでいる短編のタイトもこの小説のタイトルと同じ。なかなか面白いスタイルである。冒頭の、

 なぜ、(女流小説家)は流行作家になれなかったか。力量も足りなかったが、<男>を書くことができなかったからだ。

 という文章が力強い。

 確かに、この小説には作中作も含めて男がほぼ描かれておらず、女性同士の世界は危ういバランスの上に成り立っている。それが小説として十分読みうることを立証した作品。

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