2013年8月3日土曜日

双頭のバビロン


 皆川博子「双頭のバビロン」読了。読み終わるのが惜しかった。双生児もののミステリーなのでトリックは容易に想像できるのだが、そんなへっぽこ知識を凌駕する豊穣な表現力に圧倒された。

 実のところ僕は皆川博子という作家を2,3年前まで知らなかった。初めて知ったのは、「薔薇密室」という魅惑的なタイトルの文庫本を書店で偶然見かけたときである。早速買って帰り、読み始めた途端、その濃密な世界に驚愕した。

 80歳を超えるこんなすごい小説家を知らなかったとは、自分は何を見てきたのだろう、と唖然とする。世の中は自分が知らないことで満ち溢れているとしても、こと小説に限ってはないよなあ、もう。


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