2021年3月31日水曜日

「邂逅の森」

 

 熊谷達也「邂逅の森」読了

 これはすばらしかった。直木賞受賞作品だから若書きの部類かと思ったら、東北地方のマタギの世界を縦横に描く筆致は、あたかも猟師やクマの息遣いが聞こえそうなくらい見事で、圧倒的な勢いで迫ってくる。

 描写を会話に委ねないで、著者の言葉で心象や背景を説明しているのがよい。最近の軽い小説は90%以上が会話文だったりするからね。

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