2019年11月2日土曜日

「旅愁」


 横光利一「旅愁」読了

 とにかく長い。紙の本だと1,300ページに及ぶ大長編。しかも、大半が西洋コンプレックスを背景とした日本賛美で、今ではほとんど意味のない議論が延々と続く。当時はヨーロッパの文化に関する理解が十分ではなかったのだろう。何事も情報がなければ自己を相対化できないことだけは判る。

 しかしながら、小説としての構成が匠で文章もうまいので、ついつい読み進んでしまう不思議な作品である。終わりにきて、この小説が未完のままということを初めて知った。

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