妻が実家の用事で帰りが遅くなると言うので、終業後に駅前まで出て丸善をじっくりと見てまわった。
で、買ってしまった「吉本隆明全集」第10巻。収録されているのは「心的現象論序説」と「共同幻想論」というテッパンの論考。
僕はこれまで吉本の著作を何冊か買ったことがあり、上記の2作も持っていたことがある。しかし、実のところ僕は彼の作品をちゃんと読んだことがない。理由は単純。難しいから。
吉本と同時代の埴谷雄高を難解という人は今はいない。あれは難解という意匠をまとった小説で、上質のリリシズムだと思うが、語られている思想はかつて言われていたほど判りにくいものではない。しかし、吉本は依然として難しい。
それでも今回新たに6千円以上も出して買ったのは(貰った図書券でだけれど)、丸善で「共同幻想論」をパラパラとめくって次の文章にやられたから。
言語を表現するものは、そのつどひとりの個体であるが、このひとりの個体という位相は、人間がこの世界でとりうる態度のうちどう位置づけられるべきだろうか、人間はひとりの個体という以外にどんな態度をとりうるものか、そしてひとりの個体という態度は、それ以外の態度とのあいだにどんな関係をもつのか(「共同現象論」序文)
哲学はこれでしよ、これ。頑張って読みまっししょい。
Photo: Canon PowerShot S120
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