濱口竜介「ハッピーアワー」
「ドライブ・マイ・カー」の監督が2015年に撮った5時間17分に及ぶ長尺。まったく退屈しなかったと言えば嘘になるけど、最後まで観られたということは長さはさほど問題ではなかった。
棒読み調のセリフを基本として、訴えるより聞き取らせることを重視する手法としては「ドライブ・マイ・カー」と同じ。著名な作家の原作に縛られない分、こちらの方がプリミティブで僕的にはよかった。
若い頃、僕は女性の外面しか見えておらず、極端に変わった内面を持っている女性がいるとは思っていなかった。しかし、経験を重ねるにつれ、女性も人それぞれ内面に裂け目を抱えているのだということが判ってきた。
この映画は棒読み調のセリフが延々と続く過程で、普段は平静に暮らしている女性の着火点のようなものが透けて見えてくる。そこの描き方がうまい。それに引き換え、男のキャラクターは凡庸だ。「ドライブ・マイ・カー」はその点が改善されている。★★★★★
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