2019年6月27日木曜日

「美しく呪われた人たち」


 F.S.フィッツジェラルド「美しく呪われた人たち」読了

 これは傑作だ。フィッツジェラルドの人間観察の鋭さ、小説の構成力のうまさはずば抜けている。しかし、それも前半までで、後半の支離滅裂感は否めない。

 そもそもロスト・ジェネレーションの主人公が破綻するのは絶頂期だった前半から予兆があるのだから、唐突で不自然とも感じられる破綻の要因を無理に設定する必要はなかったのではないか。そういう意味では失敗作という世評はあたっている。けれども、失敗のレヴェルは高い。僕は「グレート・ギャッツビー」よりも好きである。

Photo: iPhone8

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