2015年9月30日水曜日

椎の木のほとり



 辻邦生「椎の木のほとり」読了。

  今やこういう骨格の定まったきちんとした小説を書く人はいなくなった。同時に、この連作小説集では人が死んでいくが、自分と他者(時代)との乖離に絶望して死を選ぶことはあっても根本的には自分を疑うことはないような気がする。

 この小説で描かれている死は自分を守るためのものである。しかして、今は死に値するほどの自分はありや。そこが違うところ。

0 件のコメント:

コメントを投稿